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施設情報や災害情報をAIが判断 東京・国分寺で実証実験

企業市民活動(コーポレートシチズンシップ)は、アバナードが力を注ぐESGの取り組みの一つです。アバナードは、働く地域社会で、そして暮らす地球で、人々の生活向上につながるよう努めています。その一環として、MicrosoftのAzure OpenAI service(ChatGPT)を活用した「AI避難支援アプリ」を2024年3月に開発しました。最新の災害情報や位置情報、施設情報を基にAIが安全な場所を判断し、地図で避難経路を案内するサービスです。

今回の開発のきっかけとなったのは、日本法人が取り組む社内メイカソン「!nnovate(イノベート)」で関西のエンジニアチームが2023年5月に開発した「点字変換サービス」です。これは、AIが災害時の最適な避難経路を点字ディスプレイで知らせるシステムで、視覚障害者が逃げ遅れないようにすることを目的としていました。この「点字変換サービス」のデモンストレーションや専門家との意見交換を重ねる中で「ユーザーは点字ディスプレイを日常から使用している視覚障害者に限られる」「目の不自由な人でなくても、災害時はパニックになって正しい判断ができない」といった声を受け、利用対象を広げた今回の「AI避難支援アプリ」の開発に至りました。

 

「AI避難支援アプリ」は、点字ディスプレイを使用した前回のサービスとは違い、スマートフォン等に気軽にダウンロードできるアプリケーションとして開発しました。クラウドサービスのMicrosoft Azureに気象庁の災害情報や国が公開している避難所情報など基本となる情報を蓄積し、AIが被災現場の状況に合った適切な避難経路を判断する仕組みです。経路はGoogle Mapに表示され、位置情報と連動させることでナビゲーションを開始します。端末のバージョンによっては車椅子対応のルートを使うことも可能です。開発チームは昨年末から構想を練り、デモに対して自治体の意見も取り入れながら、多言語対応(英語・中国語)など改良を重ねました。

 

3月7日には一般社団法人防災教育普及協会の協力を得て、東京・国分寺市でアプリの実証実験を行いました。当日はJR中央線・国分寺駅で、地震に加えて火災や土砂崩れが起きた場合を想定し、AIが判断した施設へ徒歩で避難しました。この日は事前インストール済みのデモ端末を使い、アプリの使用感や社会実装上の課題・要望について意見交換をしました。避難先の施設の詳細情報やリルート機能、普段からアプリを入れてもらう工夫の必要性など、多くの改善ポイントが見えてきました。防災教育普及協会教育事業部の宮﨑賢哉部長は「アプリに表示されても実際に行動に移すことができる人は少ないと思います。他のアプリやナビとは違う、人間の行動に基づくアプローチができれば良いのではないでしょうか」と展望を語りました。

 

現時点で国などが公開しているデータでは、建物ごとの耐震情報や施設に実際に避難している人の数、施設の備蓄状況等を把握することは難しくなっています。今後も可能な限りのデータを活用してプロンプトを調整し、当面はアップデートを重ねていきます。また、お茶の水女子大学のアバナードの寄附講座で生まれた防災訓練アプリとの連動も検討していきます。

今回、「ChatGPTを使って、社会の課題解決につながることができないか」というエンジニアたちの思いが「点字変換サービス」開発を経て「AI避難支援アプリ」開発につながりました。アバナードの企業市民活動のミッションは、若者や過小評価されているコミュニティや環境に、持続可能な影響を与えることです。今後もアバナードならではのテクノロジーを活用しながら、地域や年齢、障害を問わず、持続可能な社会を創る「新たな価値創造」を続けていきます。

* 本アプリは開発中のもので市場展開は未定です。

 
 
 

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