先月のホリデー カクテル パーティでは、プレイオフの予想やファンタジー リーグ、冬の旅行はどうするかなど、いつもの話題は一切なく、一つのことで持ち切りでした：それは生成AIです。何が本当で、何が誇大広告なのか。企業は準備のために今何をするべきか。リスクと危険性、そして利点とはどんなものか。
生成AIは、私が本業として日々携わっている世界なので、クライアントや好奇心旺盛な友人にいつも伝えていることをお話します。
生成AIは変革的なテクノロジーであり、あらゆる顧客に対して業界を問わずに影響を与えます。保険、銀行、資産運用、どんな業種であろうと例外ではありません。皆さんよく学んでおられ、導入前にしっかりと検討されている企業もありますが、実際にAIの導入について行動に移すとなると、二の足を踏んでおられるのが現状のようです。現に アバナードAI導入報告の中でも、調査に参加いただいた94%の企業がAIのためにデジタル投資を拡大していると回答しました。企業はアイデアから行動に移すことを切望していますが、どのように行えばよいのでしょうか。
ステップ１：信頼関係の構築
まず初めに上がってくる質問は「信頼」に関することです。生成AIから受け取る情報が正確で、偏見や間違いのないものであると、どのように判断すればよいのか。保持しているデータや顧客情報の安全性はどのように守られるのか。業務を遂行するにあたり、AIを本当に信用して大丈夫なのか。
米国ホワイト ハウスが昨年10月 「人工知能の安心、安全かつ信頼できる開発と利用」に取り組むための大統領令を発表し、リスクを軽減しつつ、責任あるAIの利用を促進するためにこの話題に加わりました。これに続き欧州連合（EU）も、リスクの分類、透明性の施行、コンプライアンス違反の責任を企業に負わせるための事実上のグローバル スタンダードを設定しうる広範囲な幅広い規定を盛り込むことで合意に達しました。
この米国大統領令は８つの指導原則と優先事項を概説しており、連邦政府行政府が同令の対象となる行動をとる際に遵守するものとして、２つの骨組みから構成されています:
• AIの安全性、セキュリティ、透明性、説明責任を確保した上で、プライバシー、市民権、市民的自由を尊重すること。
• AIリスクへの対処とは、慎重かつ責任あるAIの使用を含むものとし、バイオテクノロジー、サイバーセキュリティ、重要なインフラ、その他国家安全保障に関する分野におけるものとする。
米国政府とEUがガバナンスの採用に向けて動き始めたのは喜ばしいことです。しかし正直なところ、この高速列車はすでに駅を出発してしまっています。EUが提案した法案は、早ければ5月には可決されるかもしれませんが、完全施行までには2年かかります。また、大統領令にとどまらず、米国ではいかなる法律の制定についても遅れをとっています。その一方で、私たちの業界を含む様々なところで企業はすでに独自でベストな実例を作り上げており、責任あるAIの原則を展開させています。
以下に、私が考えるAIとの信頼構築とリスクの最小化について、今できることを紹介します：
- 大きく考え、小さく始めることで信頼を築いていく。
- ガバナンスが第一。ガバナンス原則、内部統制、そしてプロトコルを作成し、そこに自社の基本原則を反映させる。
- 人を第一に考えることを忘れない。これが、組織とその従業員に対して効率性を向上させる足掛かりとなります。人によって動き出し、生成AI によって実現へと導かれていくのです。
- 倫理的かつ責任あるAIの使用に今すぐコミットする。アバナードで実際に行っていることなのですが、「責任あるAI大使」を任命して、企業全体における生成AIの使用法を舵取りしてもらっています。
この暴走列車に飛び乗るチャンスはまだあります… ただ、駅に止まるのを待つことはやめた方がよいでしょう。